岩崎弥太郎に学ぶ――図形が秘める運命の力
2010年の大河ドラマ『龍馬伝』は、坂本龍馬の生涯を、ある男の視点から描いていました。
その男こそ、のちに日本を代表する巨大企業・三菱グループを築き上げることとなる、岩崎弥太郎です。
弥太郎は、龍馬と同じく土佐に生まれ、やがて経済の分野で名を馳せていきます。
建築家である私が彼に関心を抱いたのは、家や建物そのものというより、ある「図形」に心を惹かれたからです。
三菱のシンボルマークに宿る幾何学の力
三菱のロゴマークをご存じでしょうか?
三枚のひし形が中央で交差するこのマーク。実は、**二つの正三角形(△と▽)を重ね合わせると現れる「六芒星」**の中に、ぴたりと収まるのです。
もちろん、三菱の公式資料にそんな記述はありません。
会社の広報やネット検索でもその図形的な意味には触れられていません。
しかし、偶然にしては、あまりに完成された構造。それは私に、“何かが宿っている”という直感を抱かせました。
家紋と六芒星――表と裏の系譜
このロゴが生まれたのは、明治6年。
弥太郎が個人事業として設立した「三菱商会」が始まりです。
当時のマークは、土佐藩主・山内家の「三葉柏紋」と、岩崎家の「三階菱紋」を組み合わせたもの。
表向きはその融合としての「三菱マーク」が誕生したということになっています。
しかし、さらに視野を広げていくと、彼と同時代に関わったグラバー邸のトーマス・グラバーも、実はユダヤ系の資本家とされているのです。
ここに、シンボルと幾何学、そして歴史の裏でうごめく何かが絡み合っているようにも感じます。
六芒星は、ユダヤ教の象徴となる前から存在する古代の魔術的記号であり、
▲(火・男性性)と▼(水・女性性)の重なりによって、「地球」や「完全性」を表していました。
つまりこれは、宇宙を動かす力、統合と調和の象徴であり、会社のマークにこの図形が宿っているとすれば、
三菱が“世界に打って出る”パワーをその内部に秘めていたのも偶然ではない気がしてなりません。
シンボルは「見えない力」を語る
古今東西、図形には意味が込められています。
陰陽のマーク「タオ」、曼荼羅、日の丸、五芒星、十字――
それらはただの模様ではなく、人々の祈りや願い、守護や調和を象徴するものでした。
五芒星は、守りや治癒の力を持ち、
六芒星は、六つの方向(北・南・東・西・上・下)から世界を守るとされ、ソロモン王の盾としても使われたと言われています。
そう考えると、現代の「会社」という一国にも近い存在が持つロゴ――それがどんな図形であるかは、実は極めて重要な意味を持つのかもしれません。
土佐という地の風水的パワー
話は少し飛ぶように思われるかもしれませんが、岩崎弥太郎と坂本龍馬が育った高知県高知市――
その中でも、弥太郎が学んだ「少林塾」は、実は風水的に見ても非常に整った地形だったのです。
周囲には山、川、海があり、**四神相応(東に青龍、西に白虎、南に朱雀、北に玄武)**の条件を満たしていたとも言われています。
さらに、その北東には、**ソロモンの秘宝が隠されたという伝説の「剣山(鶴亀山)」**が存在します。
このエリア全体が、まさに「英傑を育て、巣立たせる」ための風水的パワースポットだったのです。
パワーを纏うロゴ、風水を超えた知恵
岩崎弥太郎の成功は、もちろん彼の才覚と努力の賜物でしょう。
しかし、その背景には、地の力と図形の持つシンボル性、
そして何よりも彼自身が持っていた「見えないものを感じ取る力」があったように思えてなりません。
図形は単なる形ではなく、時代を超えて伝えられた精神と祈りの結晶。
それを無意識にでも選び取り、自らの旗とした岩崎弥太郎には、やはり“ただ者ではない直感”があったのだと思います。
