石原慎太郎に学ぶ ―― 都市に風を通す男の“構想力”
小説家にして政治家――
そして、東京都知事として三期十年以上、首都・東京の大改革に挑み続けた男、石原慎太郎。
公式ホームページのタイトルに掲げられていたのは、なんと「宣戦布告」。
その言葉通り、官僚主義にメスを入れ、日本の未来に喝を入れる。まさに、現代の“風雲児”です。
強い言葉と鋭い舌鋒に注目が集まりがちな彼ですが、
実はその都市政策の裏に、「風水的思想が隠されていたのでは?」という興味深い話があるのです。
■ 東京湾から都庁へ“気”を送る都市計画?
かつての東京は、海からの風が市街地に入り込み、
まるで呼吸するように「良い気」を循環させていたといわれます。
しかし、時代とともに超高層ビルが林立し、
東京湾から都心部へ向かう自然の風が遮られてしまった――。
これが、**経済停滞の原因ではないか?**とする風水的な見方がささやかれるようになったのです。
■ マッカーサー道路という“気の通り道”
そんななか、石原都知事が動きました。
彼が復活を決めたのが、**“マッカーサー道路”こと「環状2号線」**の計画。
終戦直後、アメリカ軍が要請したという幅100メートルの軍用道路構想。
それを、幅40メートルに縮小して復活させたのです。
「この道を通せば、東京湾の“気”が都庁に届く」
――そんな“構想”を、都知事は胸の奥に秘めていたのかもしれません。
この道は、新橋から虎ノ門を抜け、最終的には外堀通りへと至る全長約1.35キロの直線。
それは、まるで「気のパイプライン」。東京湾のエネルギーが、そのまま新宿の都庁へと届く――
壮大な都市風水の実験とも言える計画でした。
■ 東京マラソンは「風水のプロペラ」?
しかし、それだけでは終わりません。石原氏の構想には“動き”が必要だった。
「ただ道を通すだけではダメ。風を“動かす力”がいる」
――そこで登場したのが、東京マラソンです。
地図を広げてみると、東京マラソンのコースは十字型の風車のような形をしており、
その“プロペラ”がまわることで、東京湾の気を回転させて吸い上げ、都心へ送り込む。
ランナーたちが走ることで、人の流れと熱が動き、まるで気流のようにエネルギーが循環する。
その“回転の中心”が、都庁だったのです。
モーターにあたるのが東京マラソン。
通路にあたるのがマッカーサー道路。
その先にあるのが、石原慎太郎の描いた「東京再生の青写真」。
■ 風水を信じていたのか?それとも…
もちろん、こうした話の多くは都市伝説の域を出ないかもしれません。
けれど――
私たちは普段、神社の鳥居や結界、鏡の位置に意味を感じ、
知らず知らずのうちに「目に見えない力」を信じて生きています。
都市にも「気」があり、街全体に“流れ”があるという考え方は、
決して突飛なものではありません。
「事実は小説より奇なり」
――石原慎太郎は、小説家でもありました。
ならば、この都市風水のような構想も、
きっと彼にとっては“壮大なプロット”のひとつだったのかもしれません。
■ 2012年、プロペラは回り出す
そして、2012年。
環状2号線(マッカーサー道路)の完成とともに、東京マラソンが開催され、
都庁には再び“気”が流れ込み始めたと言われています。
その後の日本の景気や東京の動きを見れば――
もしかしたら、あの“都市風水作戦”は、見えないところで功を奏していたのかもしれません。
石原慎太郎とは何者か?
政治家であり、小説家であり、思想家であり、
時に異端、時に革命家として語られる彼の姿――。
「人間は、理屈ではなく“構想力”で動く」
――そのことを誰よりも体現していたのが、石原慎太郎なのかもしれません。
