帯津良一に学ぶ ―― 家と身体と魂の「つながり」
私たちは、身体に不調を感じたとき、病院に行き、薬を飲み、時に手術を受ける。
それが現代の当たり前の医療のかたち――ですが、もしその不調の根本的な原因が「家」にあったとしたら?
今回ご紹介するのは、日本のホリスティック医学の第一人者・帯津良一先生。
埼玉県川越市で「帯津三敬病院」を経営されながら、医学とスピリチュアリティを架け橋するような新しい医療のかたちを探求してきた方です。
ホリスティック医学とは、「つながりの医学」
帯津先生が会長を務める「ホリスティック医学協会」では、
病を身体の“パーツ”としてではなく、「心と身体と魂のつながり」として捉えます。
それはつまり、環境も含めた全体性(ホリス)を見ること。
この考え方は、風水や東洋思想とも非常に近いものがあります。
先生はそれを「生命場の医学」と名付け、
肝臓と胃袋のあいだにある“目には見えない場”が、
実際に身体や感情に作用していると語ります。
この発想をさらに広げれば、当然ながら“家”や“空間”も、私たちの心身に大きな影響を与えているということになります。
「病は家から」――建築医学のすすめ
帯津先生が監修を務めた『建築医学入門』(松永修岳著)という書籍では、
住まいと病の深い関係をわかりやすく解き明かしています。
ここから、特に印象深いポイントをいくつかご紹介しましょう。
■ 住環境が人を病ませる
「病は気から」とは昔からの言い回しですが、建築医学ではこう言い換えます。
「病は家から」
例えば、食事や運動だけではなかなか回復しない症状が、住まいの改善によって軽快することがある。
住環境が持つ“場のエネルギー”が、私たちの感情や免疫、神経にまで深く作用しているのです。
■ 部屋が狭くてモノが多いと、自律神経が乱れる
ものが溢れ、片付いていない空間では、空気中のプラスイオンが増え、
うつや自律神経失調症を引き起こすリスクが高まります。
部屋が乱れていると、心もまた“過密状態”となり、ストレスが蓄積されてしまうのです。
■ 色が性格をつくる? ―― 色彩と心理の関係
内装や壁の「色」が、性格や感情に与える影響も見逃せません。
- 赤やオレンジ:行動力・やる気を高める
- 黄色:好奇心・夢・希望をイメージさせる
- 緑:調和・平和・人間関係の安定
- 青:感情のコントロール・理解力向上
- 紫:霊性・芸術的感受性を刺激
- 白・黒・グレー(無彩色):心理的にはネガティブに働きやすい
特に白い壁紙ばかりの無機質な家では、落ち着きが失われ、攻撃的な感情が生まれやすいと帯津先生は警鐘を鳴らします。
色とはすなわち「光」。その光が心にどう響くかは、想像以上に大きいのです。
「家」と「場」は、心と身体を育てる場
こうして見ていくと、帯津先生の語る“建築医学”は、
風水や空間心理学、環境デザインの根本にも深くつながっています。
部屋の広さ、家具の配置、色彩の選び方――
すべてが、住む人の呼吸、感情、行動、そして健康と密接に関わっている。
それはまるで、「家そのものが人の身体の延長」であるかのようです。
最後に
帯津先生は、現代医療の最先端を知る外科医でありながら、
目に見えないものの力、そして“いのちの場”を信じ、探求し続けている数少ない医師の一人です。
「病院とは、生と死を包み込む“道場”であるべきだ」
そんな彼の言葉は、いまも私の心に残っています。
おすすめの一冊
📖 『全力往生』(小学館/DVD付き)
死を「終わり」ではなく、「生の完成」として受けとめる帯津先生の哲学に触れられる一冊です。