苫米地英人に学ぶ――風水を再定義する現代の叡智
ある夏の日、私は友人の作家・Tランディー氏に、ある人物の本を手渡しました。
「この人、ほんとうにすごいよ。いつか会ってみたいんだ」
その人物の名は――苫米地英人(とまべち・ひでと)。
脳機能学者として世界的に活躍し、「ことえり」の開発をはじめ、マッキントッシュ日本語入力システムの設計者。
さらには三菱地所の一員としてロックフェラー・センター買収に関与し、オウム真理教事件では公安から“洗脳解除”を依頼されるなど、まさに異能の天才。
フェラーリに乗り、ヘリを操り、世界中を飛び回るその姿は、まさに現代の賢者と呼ぶにふさわしい。
そしてその「夢のような出会い」は、なんと半年も経たないうちに、現実のものとなったのです。
2023年1月8日、私はついに彼に会い、直接話をする機会に恵まれました。
そのとき彼が語ってくれたのは、風水――ただし、常識に囚われない、新しい風水の話でした。
東京駅と皇居を貫く、巨大な風水装置
「東京の中心部を見てごらん」と、苫米地氏は言いました。
「東京駅が朱雀、皇居が玄武、右に青龍(新丸ビル)、左に白虎(丸ビル)。まるで道教の風水そのものだよ」
そう言われて改めて地図を見れば、確かに朱雀(南)から玄武(北)を結ぶ「行幸通り」が、東京駅から皇居へと一直線に伸びている。
つまりこれは偶然ではなく、意図された都市風水。東京という都市そのものが、一種の巨大な“結界”を形づくっているというのです。
オフィスの配置にも風水を
彼の自宅やオフィスにおいても、風水は現実的に使われています。
「こっちが青龍、こっちが白虎。だから机はここに、出入り口はここにしてね」
まるで図面に“気の流れ”が見えているかのように、理路整然と空間を設計するその姿は、建築家の私から見てもただただ感心するばかりでした。
風と水、そして火――苫米地流“第三の要素”
面白いのは、彼が一般的な風水に足りないものとして「火」を挙げていたことです。
風と水が空間を巡る中で、「火」はエネルギーの集中・意志・精神性を表すもの。
それは、ヨガの世界で言う「印(ムドラー)」や、気功でいう「丹田の火」にも近い発想で、
苫米地氏はこの“火”の存在こそが、人の生き方に火を灯す鍵になると考えているようです。
音を使って「空間」を整える
そしてもう一つ、彼が注目していたのは“音”。
苫米地氏は、特殊音源のCDを開発しており、それを家の中で流すことで、
空間に臨場感を与え、五感を使って「潜在意識に働きかける」風水を実践しています。
「部屋にも“音を聴かせる”んだよ。そうすると空間が生き返る」
音によって空間と自分自身をリンクさせ、「いい時の感覚」を呼び起こす。
それは脳科学者ならではのアプローチであり、“内部表現の書き換え”による風水とも言える手法です。
マスコミの“スピブーム”に流されない目
そんな苫米地氏ですが、現代の「なんちゃってスピリチュアル」や「占いビジネス」には厳しい姿勢を持っています。
「風水だのパワーストーンだの言う前に、自分の脳の中を整えなさい」
苫米地氏にとって、“本物の風水”とは、
エネルギーを感じるとか、運気を上げるといった話ではなく、
「自分の内部表現=認知構造」を整え、未来を選び直す技術なのです。
まとめに代えて――苫米地流「風水」とは
風水とは、地形や方位だけを見るものではありません。
現代の住まい、都市、音、感情――すべてを使って「今ここ」に意味を与える技術。
それを実践し、科学として語る苫米地英人氏の考え方は、まさに21世紀の風水とも言えるものでした。
男として、経営者として、哲学者として、苫米地先生は“理想を現実に変えてしまう力”を持っている。
その背中を追いかけながら、私自身も、自分の住む場所、自分の空間、そして心のあり方を見直すきっかけをいただいたのでした。
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