藤田田に学ぶ――“直感”が風水を超えるとき
いまや日本中に広がるマクドナルドの赤と黄色の看板。
けれど、当初は「ハンバーガーなんて日本人には根づかない」と多くの人が言っていました。
そんな空気の中、たったひとりで「これはいける」と確信し、
昭和46年7月20日、銀座三越の1階に日本初のマクドナルドをオープンさせた男――
それが、実業家・藤田田(でん)氏です。
今回は、彼の成功の裏にある「場の感覚」、
そして風水をも超える“動物的直感”の力に注目してみたいと思います。
■ リッチになるには「立地」から
藤田氏はマクドナルド1号店の出店にあたり、
毎日、銀座通りを眺めていたといいます。
「どこが儲かるか」は、地図や理論ではわからない。
人の流れを、目で、身体で、肌で感じることが大切だと気づいたのです。
彼が見つけたのは、ほんの10メートルの差で人の流れが劇的に変わる“儲かる場所”。
1丁目から4丁目は左側の人通りが多く、5丁目から8丁目は右側が多い。
この「10メートルは10キロの差に匹敵する」と語る鋭い観察眼と、
諦めずに三越と交渉し、百貨店の軒先にハンバーガー店を構えるという型破りな発想――
そのすべてが、彼の“直感”に支えられていたのです。
「事業は理論で成功しない。動物的な感覚でやるものだ」
この言葉は、風水のマニュアルに頼りすぎる私たちにも、ハッとするひと言です。
■ “見えない力”を活かす店舗設計
マクドナルド銀座1号店は、明るくモダンで清潔な立ち食いスタイル。
これは当時の常識を覆すもので、若い女性が集まり、それに引き寄せられるように男性客、外国人客、家族連れが増え、
開店早々世界売上記録を樹立。アメリカ本社を驚かせたといいます。
- カウンターの高さは92センチ(お金を出しやすい)
- 壁や看板に「人を引き寄せる色」を使用
- バンズの厚さは、最も美味しく感じる比率を計算済み
これらは単なる“商売の工夫”ではなく、まさに「ビジネス風水」。
藤田氏は、空間そのものが人の心理にどう働くかを、
データではなく、知恵と感覚で掴んでいたのです。
■ 宇宙と経済をつなぐ「78対22の法則」
藤田氏がよく語っていた数字があります。
それが「78対22の法則」。
- 円が正方形に内接すると、面積は78:22
- 空気中の成分も、窒素が78%、酸素などが22%
- 人体も水分が78%、その他が22%
彼はこの比率を、あらゆる“迷いどころ”に当てはめてみると良いと言います。
たとえば――
売場の面積、商品の比率、投資と回収のバランス、社員の割合。
中でも印象的だったのはこの言葉。
「お金持ちは、全体の22%。残り78%が中流以下。
しかもその22%が、世界の78%の富を所有している」
藤田氏は、成功者になりたいなら、この22%に入る生き方を選べと語っていたのです。
つまり、「目立たず、なんとなく、平均で満足している」側には、
いつまでたっても本物の豊かさは巡ってこないということ。
■ 知識ではなく「知恵」で勝て
藤田氏は言います。
「人間は動物だ。理屈じゃ動かない。知識ではなく知恵を使え」
この言葉は、建築、風水、デザイン――
すべての現場に生きる、極めて実践的な指針です。
見えるものだけに囚われず、
地面の声を聞き、空気の流れを読み、人の気配を察する。
それが「場所」に命を吹き込み、「空間」に運を呼び込むコツなのです。
おすすめの一冊
📘 『Den Fujitaの商法』(ワニの新書)
マクドナルドを武器に、世界を相手に戦った“日本流マーケティングの天才”が語る珠玉の名言集。